Column
コラム
-
ミニマリストな家づくり|シンプルで心地よい空間をつくるには?
2025.6.30
#お家の豆知識
#間取りのアイデア
最近では、モノに囲まれた豊かさよりも、「心のゆとり」や「快適な暮らし」を大切にする人が増えています。収入が思うように増えない中、住宅価格や資材の高騰もあり、「背伸びしすぎない家づくり」を考える人が増えているのではないでしょうか。
そんな今、注目されているのが“ミニマリスト”という考え方。本当に必要なものだけを選び取るシンプルな暮らし方は、家づくりにも大きなヒントを与えてくれます。
ミニマリスト住宅とは?

ミニマリスト住宅とは、豪華さや広さよりも、「自分たちにとって本当に暮らしやすいか」を大切にした家。ムダを省いて、必要なものを必要な分だけ取り入れた、シンプルで機能的な住まいです。
たとえば、ちょっと小さめの家にすることで建築費を抑えられ、その分、断熱や耐震など“家の基本性能”にお金をかけることも可能に。素材や設備にこだわれば、長く安心して暮らせる家になります。
「余計なものを減らし、本当に必要なものにしっかりお金をかける」。そのバランス感覚こそが、ミニマリスト住宅の考え方です。
シンプルな家のメリット
① 掃除がラク
シンプルな間取りとコンパクトなスペースは、日々の掃除を圧倒的にラクにします。ミニマリストな暮らしの基本は、手間を省き、生活に余裕を持たせること。手間が減ることで暮らしにゆとりも生まれます。
② 光熱費の節約
コンパクトな家は、冷暖房の効率がよく、光熱費を抑えることに繋がります。シンプルな構造だからこそ無駄が少なく、環境にも家計にもやさしい設計になります。
③ 税金や維持費が安い
小規模な家は固定資産税が抑えられ、メンテナンスにかかるコストも少なめ。トータルでのランニングコストが減るため、長期的な経済的メリットも大きいのがミニマリスト住宅の特長です。
④ 持ち物の見直しができる
収納が限られている分、「本当に必要なものって何だろう?」と自然に考えるようになります。持ち物をシンプルにすることで暮らしも気持ちも、スッキリ整いますよ。
ミニマリスト設計の基本
① 間取りを合理的に
生活動線がスムーズになるように計画されたシンプルな間取りは、とても暮らしやすく感じるもの。必要以上の部屋や無駄な空間を持たず、ひとつの空間を上手に使いこなす工夫がミニマリスト住宅のポイントです。
- 家事スペースとスタディスペースを一緒にする
- 玄関ホールや廊下を最小限に
- 家具や収納で空間をゆるく仕切る
② 収納は「持たない前提」で考える。持ち物はシンプルに
収納を作りすぎると、ついものをためこんでしまうものです。収納は必要最低限にして、「物を持たない習慣」を暮らしの中で自然に育てていきましょう。
シンプルな家の落とし穴?

① 家族が増えたら?
将来的に家族が増えることも見据えた設計が必要です。可動式の間仕切りや、将来増築できる余白のある設計など、コンパクトでも柔軟性を持たせた間取りが理想です。
② プライバシーは守れる?
開放感のあるシンプルな間取りは理想的ですが、音や視線の問題も。ミニマリストな家でも、収納や建具を工夫してプライバシーを守る設計が重要です。家族でも心地よい距離間でいたいですよね。
③ 売却・貸出の視点も大切
どんなに自分たちに合った家でも、将来的に手放す可能性はゼロではありません。極端に狭すぎる、クセが強すぎる間取りは他人にとって住みにくいことも。万人にとっても住みやすいシンプルな構造にしておくことは、資産価値を守ることにもつながります
最近注目されているシンプル設計
近年の住宅設計では、従来の「あって当たり前」と思われていた空間や設備を、あえて削る発想が注目されています。不要な設備をなくすことで、家そのものがすっきりとした印象に。これは、ミニマリストの考え方とも相性がよく、便利さや快適さを損なうことなく、ムダをそぎ落とす発想です。
不要なものを省いた新しい設計スタイル
- 玄関ホールをなくす
廊下やホールを思い切ってなくし、玄関からLDKが繋がる設計が増えています。動線が短くなり、無駄な面積を減らすことができます。 - リビングドアを設けない
間仕切りのないオープンな設計にすることで、空間に開放感が生まれます。子どもの見守りや、来客時の導線もスムーズになり、風通しも良好に。 - スタディスペースや家事コーナーを兼用する
スペースを複数の用途で使うことで、部屋数を減らしつつも機能性はキープ。カウンターや作業台などを取り入れて、家族の生活スタイルに柔軟に対応しましょう。 - トイレに窓をつけない
近ごろではトイレに窓をつけない家が増えています。換気扇があれは換気には困りませんし、電気があれば採光を考える必要もありません。断熱・防音面でもメリットはたくさん。 - ベランダを設けない
手入れが面倒なベランダよりも、室内のランドリールームが主流になりつつあります。室内干しのほうが多様なライフスタイルに柔軟に対応ができる上に掃除も楽に。
シンプル設計が支持される理由
- 生活動線が短くなり、使いやすい
- メンテナンスや掃除が圧倒的にラク
- 建築コストを抑えて性能に投資できる
- 空間が整っていて気持ちがいい
- “ないこと”がストレスにならず、むしろ快適
「断捨離設計」のすすめ|心も暮らしも整える家づくりの工夫
ミニマリストな家づくりを考えるうえで、「断捨離」はただの片づけのテクニックではありません。大切なのは「物を減らす」ことではなく、「物を増やさない仕組みをつくる」こと。
設計の段階から“持ちすぎない暮らし”を意識する
ミニマリストな住まいでは、家の間取りや設備が自然と“断捨離のきっかけ”になることも。収納は「とりあえず付ける」ではなく、「何がどれくらい必要か」によって決めましょう。収納がたくさんあると安心、と思いがちですが、大きすぎる収納は余計なものをため込んでしまう落とし穴でもあります。
【収納の工夫ポイント】
- 納戸や押入れを最小限に
広い収納があると「とりあえずしまっておく」が増えてしまいます。必要な分だけに絞ることで、すっきりとした暮らしに。 - オープンなクローゼットを採用
扉がない分、中が常に見えるため、自然と整頓の意識が高まります。また、死角が減ることで不要なものに気づきやすくなります。 - 造作収納は最小限に
初めから作り込みすぎず、必要に応じて市販品をプラスできる余白を持たせておくと、変化にも対応しやすくなります。
広すぎる空間は“物を呼び込む”ことも
広くて開放的な空間は魅力的に感じられますが、その「余白」が油断のもとになることも。なんとなく置いた家具や、使わない物がいつの間にかスペースを埋めてしまう……そんな経験、ありませんか?
【注意したい余白の落とし穴】
- アイランドキッチン
見た目はおしゃれですが面積を多く占める最大の設備のひとつです。また、収納も多く、ものをため込みやすくなるというリスクも。 - 広すぎるリビング
テレビ台、収納棚、飾り物……「置けるから置く」になりやすく、結果的に物が増えてしまいます。 - 使い道のあいまいなスペース
ちょっとした空間も、明確な目的がないと“物置き場”になりがち。使う場面を具体的にイメージしておくことが大切です。
家族みんなで「選ぶ力」を育てる
いくら設計がシンプルでも、暮らす人の意識が伴っていなければ、すぐに物は増えてしまいます。だからこそ、ミニマリストな暮らしでは、家族みんなが「物を選び取る力」を持つことが大切です。
【日常でできる意識づけ】
- 「それ、本当に必要?」と問いかける
- 「買う前に一晩考えてみる」習慣
- 「今あるもので代用できないか」を考える
こうした考え方が身についてくると、自然と“物が増えない暮らし”が実現していきます。
まとめ
小さな家がくれる、大きな豊かさ
ミニマリストな家は、「少ない=我慢」ではありません。必要なものだけを厳選し、予算や空間を効率的に活用することで、むしろ心地よく、丁寧な暮らしが叶うのです。
- 掃除がラク
- 維持費が少ない
- モノを持ちすぎない習慣がつく
- 暮らしに意識的になる
こうしたメリットは、ただ「小さい」というだけでなく、シンプルに設計された家だからこそ得られる価値です。見た目も心も整うミニマリスト住宅で、あなたらしい豊かな暮らしを始めてみませんか?