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家を建てる費用は年収に対してどのくらい?予算の組み方とポイント
2025.6.29
#家づくりの疑問
#資金計画
マイホームの購入は、多くの人にとって人生最大の買い物です。その一方で「年収に対して、どれくらいの家を建てられるのか」、「予算の立て方が分からない」という声も多く聞かれます。本コラムでは、家を建てるための費用の目安から内訳、土地の有無や面積による違い、さらに予算内で家づくりを成功させるためのポイントまでを解説します。
家を建てる費用は年収に対してどのくらい?|予算設計の基本

家を建てる費用の全国平均相場と価格帯
住宅金融支援機構の2023年度データによると、注文住宅を建てる際の全国平均費用は、土地付きで約4,900万円前後、建物のみの場合は約3,800万円程度です。もちろん地域差や選ぶ設備・仕様によって変動しますが、これがひとつの目安になります。
たとえば、都市部では土地価格が高くなるためトータル費用も上がりがちですが、地方では土地費用を抑えられる分、広い敷地やより自由な設計が可能になります。
年収から導く家づくりの予算の目安とバランスを解説
家を建てる際の予算は、「世帯年収の5〜7倍以内」が安全圏とされています。たとえば年収500万円の家庭であれば2,500万円〜3,500万円、年収800万円の家庭であれば4,000万円〜5,600万円がひとつの目安です。
しかし、この金額は住宅ローンの返済が家計を圧迫しない範囲で設定する必要があります。一般的に、ローン返済額は年収の25%以内(月々の支払いは年収の1/12×25%以内)におさえるのが理想です。
家を建てる際の理想と実現可能な予算設定
理想の家を思い描くことは大切ですが、現実的な予算と照らし合わせることも重要です。住宅展示場で見た夢のような住まいも、追加費用のかかるオプションが多く含まれていたり、坪単価が高いケースが少なくありません。
まずは「これだけは譲れない」という条件を明確にし、コストが高くなりがちな部分(外構・水回り設備・収納)とのバランスを考えた設計を進めましょう。
家を建てる費用の内訳とシミュレーション方法

本体工事・設備・諸費用など費用の明細と内訳
家を建てる費用は、大きく分けて以下の3つに分類されます。
- 本体工事費:建物の構造・内外装・設備などの工事費用(全体の約70~80%)
- 付帯工事費:外構、地盤改良、給排水工事など(約10%)
- 諸費用:設計料、登記費用、ローン手数料、火災保険など(約5~10%)
これらを合計して、建物だけでおおよそ3,000万円であれば、諸費用などを含めて3,300万〜3,500万円程度の総額になります。
土地あり・土地なしで異なる建築コストの違い
すでに土地を所有している場合は、当然ながら土地代が不要ですので、建築に専念した資金計画が可能になります。一方、土地から購入する場合は、地域によって1,000万〜2,000万円以上の費用がかかることもあります。
また、土地によっては地盤改良や造成工事が必要なケースもあるため、思わぬ費用が発生する可能性も考慮しておきましょう。
家を建てる費用シミュレーションで把握する総額
住宅メーカーや金融機関のサイトでは、年収や借入希望額を入力するだけで返済額や総費用の目安を試算できる「住宅ローンシミュレーション」が用意されています。これらを活用し、事前に世帯年収見込み、毎月の返済負担や金利の影響を把握しておくと安心です。
土地の有無・広さ・エリア別に見る、家を建てる費用の違い
土地あり・土地なしの場合の費用比較と取得費用
土地ありの場合、建物費用と付帯工事費のみで済みますが、土地なしの場合は、地域ごとの土地価格相場も調べておく必要があります。
たとえば、首都圏では坪単価が100万円を超えるエリアも珍しくなく、同じ建物でも土地の違いで予算が大きく変わります。土地探しでは、自治体のハザードマップや周辺インフラもあわせてチェックしましょう。
一戸建て・注文住宅の広さ・間取りによる価格変動
延床面積や間取りの工夫によっても価格は変わります。たとえば、階数が増えると構造が複雑になり、工事費用が上がる傾向にあります。また、リビングを広くする、吹き抜けを設けるといった設計はコストアップにつながりやすいため、コスト重視の際には工夫が必要です。
予算に合わせた住宅購入のポイントと制度活用

「お金がないのに家を建てる」ための現実的な方法
「頭金がない」「貯金が少ない」といった状態でも、家を建てる方法はあります。たとえば、住宅ローンには「フルローン」と呼ばれる全額借入型もあり、諸費用や土地取得費まで融資対象になるケースもあります。
ただし、毎月の返済負担が大きくなるため、ボーナス返済を併用する、繰上げ返済を計画するなど、今後の年収見込みを含めた長期的な資金戦略が求められます。
頭金・住宅ローンの適正額と無理しない資金計画
理想的な頭金は物件価格の20%程度とされていますが、現在は頭金ゼロでも融資可能な金融機関も増えています。それでも、やはり万が一に備えて最低限の貯金は残しておくべきです。
住宅ローンの返済額は年収の25%程度までに抑えるのが理想といわれています。30%を超えるようだと、年収に対して過大といえる水準なので、間取りや仕様の見直しが必要でしょう。
近年は共働き世帯が増えて、世帯年収で住宅ローン審査を受けることも可能です。年収を理由に住宅購入をためらう方でも、工夫次第で住宅ローン審査を通過できる
ローンは「固定金利」か「変動金利」かも重要な選択ポイントです。長年続いた低金利から今後、金利が上がることも予測されます。家計への負担が過度にならないよう設計しましょう。
年収が低くても、工夫次第で住宅ローン審査を通過できる可能性もあります。夫婦の年収で審査を受けるペアローンや金融機関が返済を保証してくれる保証付き住宅ローン、フラット35などが挙げられます。これらを検討することで、年収が低くても住宅購入の夢をかなえることは充分可能です。
補助金・優遇制度の活用と諸費用の軽減策
近年では、「子育てグリーン住宅支援事業」「住宅ローン控除」など、家を建てる人に向けた支援制度が数多く用意されています。「住宅費用をあまり増やせない」「年収増加があまり見込めない」という世帯でも、これらの制度を活用することで、数十万円〜数百万円の節約が可能です。
また、長期優良住宅やZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)仕様で建てると、補助金の対象になるケースもあります。このような高機能住宅は光熱費など月々のランニングコストを抑えることもできるので、補助制度の活用を充分に検討してみましょう。
家づくりの費用を抑えるためのコツとチェックリスト

ハウスメーカー・工務店の比較検討とカタログ活用
住宅会社選びは、家づくりの成否を分ける重要なポイントです。複数のハウスメーカー・工務店から見積もりやカタログを取り寄せ、設備や構造、保証内容などを比較検討しましょう。
見積書には細かい項目が記載されているため、分からない部分は担当者に質問することが大切です。
設計・間取り・設備でコストダウンを実現する方法
建物の形をシンプルにする、ユニットバスやシステムキッチンを標準仕様から選ぶ、収納スペースを工夫するなどで、コストを抑えることができます。
また、将来的にDIYで対応できる箇所(ウッドデッキや棚など)は後回しにするのも有効です。
実際の事例から学ぶ費用削減テクニック
- 建物の形を総2階(いわゆる箱型)にすることで構造費を削減
- 家族しか立ち入らない部分の壁紙を貼らない
- 外構工事を自分たちで行う
これらの工夫で数十万円の住宅費用を節約した事例もあります。
「できることは自分で」「優先順位を明確に」という考え方が、費用を抑えながら満足度の高い家づくりにつながります。
家を建てる際の手続き・注意点と流れ
建築から登記・取得・相続までのポイント解説
家を建てるには、設計・確認申請・工事・検査・引き渡しまで多くの工程があります。さらに、完成後には登記や固定資産税の申告、将来的には相続についても考えておく必要があります。
法務局や税務署など、関係機関への手続きも忘れずに進めましょう。
住宅ローンや登記、仲介手数料など各種手続きと諸経費
住宅ローンの契約時には、事務手数料・保証料・火災保険料など、まとまった諸経費が発生します。これらは物件価格の5〜10%ほどになるケースが多く、あらかじめ予算に組み込んでおくべきです。
また、土地を仲介で購入する場合は、不動産会社に支払う仲介手数料(通常、土地価格の3%+ 6万円)がかかる点にも注意しましょう。
失敗しないための注意点と優先順位の決め方
家づくりで失敗しないためには、「何を大切にしたいのか」「将来の生活をどう描いているか」を明確にすることが不可欠です。すべてを叶えようとすると予算オーバーになりがちなので、優先順位をつけて家族全員が満足できるように判断しましょう。
まとめ|理想の家づくりと賢い費用計画のために
家を建てることは夢であり、同時に現実的な資金計画が求められる大きなプロジェクトです。年収とのバランス、土地の有無、間取りや仕様、そして住宅ローンや補助金の活用など、幅広い観点から「無理のない理想の家づくり」を進めることが重要です。
情報収集と比較、シミュレーションをしっかり行い、家族の未来にふさわしい住まいを実現しましょう。